日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

男は黙って・・・

家内について何か語るという事は気恥しいし、まじめに取り組む気にはなりません。「ウチの奴」「愚妻」・・。そんなストレートではない単語が自分達の世代では会話にでも文章にでも存在します。改めて考えればひどい話です。

そもそも夫婦の関係とはあまり多くを語らずしてお互いを察しあう、夫がこうと決めたら妻はそれに従う。「夫唱婦随」という言葉。これが古来から日本では仲の良い夫婦と事を意味するのなら、欧米社会ならあり得ない話でしょうし、今の若い世代の日本人にもない感覚でしょう。妻はヤツでもなく愚かでもない。むしろこの年齢になって、自分はただ彼女の手のひらで踊っていることに気づくのです。しかし昭和中期から後期にかけて育った世代にはなにか、そんな雰囲気があったのです。

そんな時代背景に基づく価値観の親を持った自分は男女雇用機会均等法が施行された年に社会人になりました。入社した頃は先輩女性社員は事務仕事。更にお茶くみ。ひどいものです。しかし少し長い時間をかけながらもそんな風景は一掃され、いつか自分と同期の女性が管理職になっていました。

街を歩けば胸に赤ちゃんを抱っこしたお父さんを見ることも当たり前の光景になりました。育休も一般化されました。頑張れ、と応援する自分もいます。ようやく日本も長いスパンを経てこうなったのです。

欧米に比べて日本でもうもう少し変わればな、と思うのは夫婦間の愛情表現でしょうか。よいご年齢の夫妻が街角で軽くハグをする。記念日には花を買って早く帰るし、何かあれば贈り物をする、そんな光景はヨーロッパやアメリカでは、表面的かもしれませんが、一般的です。

そんな事いちいちやってられないよ・・などと時々思ってしまう自分。なんだかんだと言いながらも結局は三つ子の魂百まで。

そもそも家内に朝、言われて気づいたのです。前日までは憶えていたのですが。「今日は誕生日だよ・・・」

ああ、「おめでとう」の一言を何で先に言えなかったのか。言われて気づくのは悔しいのです。

所用があって家内と共に街のショッピングモールに出かけました。その所要の一つに、家内にケーキを買おうという用事もこっそり入れたのです。洋菓子店の前で選びあぐねてると、家内は「そんなものいいよ・・」と遠慮します。なんだかんだといって、家内もやはり根っこの何処かに「そんな時代の価値観」が残っているのでしょうか。。

わずか600円のケーキでお礼にも何もなりません。しかもこれを二人で分けるのです。しかし「男は黙って○○ビール」といった寡黙さを良しとした時代はもう終わっています。思いは言葉で伝えるのです。

ここは「はじけたい」ところです。しかし・・・まあ控えめに。「おめでとう」、小声で言いました。

f:id:Gonta7LKF3:20211210130623j:plain