日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

越後駒が岳(新潟県魚沼市・2003m)

●始めに: 

日本百名山深田久弥氏が選んだ百の名峰。山岳文学としても素晴らしい書ですが、著者の意とは反して、このハントがブームになって久しいです。自分は特に完登は目指していませんがただ良い指標になるので自分で登れる範囲で登っています。またこのうちで自分で登れる範囲は山スキーテレマーク)で登っています。この百名山、どこかで終えたら、あとは自分の好きな山を加えて自分の中での百名山にしたい、その程度に思っています。

●錦秋の越後駒ケ岳(2003m)へ

越後の名峰・越後駒ケ岳へ。登山口・枝折峠(1065m)のテントの一夜はよく冷えたが翌朝駒ヶ岳を目指す。銀山平・奥只見湖を埋め尽くす滝雲が朝日に浮かび上がる。長いルートを着実に高度を上げていくと行く手に目指す山頂が堂々としている。遠い。あれに登るのか、とドキドキする。

近づいた山頂は強靭な尾根を左右に伸ばし肩を怒らせた坊主のようでもある。しかし草付きの山頂は秋の日を浴びて柔和でもある。標高差1000m、その殆どが山頂近くの距離に集中している。。ラストの登りは足場を選ぶ岩稜で、ナナカマドの赤い実が深い谷底を覗き込んでいた。慎重に岩をクリアすると山頂直下の避難小屋が立っていた。

草付きを登り天頂に立った。思ったほど大きくない一角だった。5時間半を超える長い登りだった。タオルで汗をぬぐいテルモスの紅茶を入れる。名高い八海山の岩尾根はちょうどガスに隠れ始めた。燧、平ケ岳、会津駒、至仏、日光白根・・登る途中良く見えていた懐かしい尾瀬・奥利根・会津の山々も雲に消えてしまった。しかし長く憧れいてたこの山頂に立てて喜びには限りがなかった。

山頂でしばしアマチュア無線を楽しむ。山の仲間とも随分交信できた。

下山は時間との勝負になった。先ほどまで登山者が休んでいた避難小屋ももうシーンとしていた。入り口は閉じられ冬仕舞いだ。「今年はもうこれで下りるよ、あなたも下山、気を付けて」と小屋番氏。この小屋もあとは雪に埋まるのをじっと待つだけになるのだろう。誰もいない山。急に大きな不安感に包まれた。秋の日はつるべ落とし。急速に傾いていく日差しの中、残照に照らされた紅葉の尾根をひたすら下った。長い登りの分、下りも長かった。何度ザックを降ろし汗をぬぐったことか。見上げる秋の空は雲が流れ空気が黒ずみ始めていた。長い。地形図を見てがっかりする。長い。足が言うことを聞かなくなってきた・・。そうだ、ザックからヘッドランプを取り出しておこう。

日の落ちる直前に登山口に戻った。と同時にストンと待ちかねたように山は闇に落ちた。12時間の長い山行、疲労の中に歩き切った充実が大きかった。共に歩いてくれた友に感謝。会心の山だった。

写真
・縦走路から越後駒が岳遠望
・奥只見湖の谷を埋める滝雲が朝日の中浮かび上がる
・小屋は今日が冬仕舞いの日だった
・雲が流れる秋空には冷めた空気に夕べの訪れを感じた
・岩壁を覗き込むナナカマド、君は怖くないのか?
・これからたどる下山尾根、草紅葉の稜線が長くため息が出た

日本百名山71座目
登山日2020年10月18日

枝折峠06:00-駒の小屋10:59-越後駒が岳山頂11:36-駒の小屋13:16-枝折峠17:20

 

f:id:Gonta7LKF3:20210809234010j:plain f:id:Gonta7LKF3:20210809234139j:plain

f:id:Gonta7LKF3:20210809234208j:plain f:id:Gonta7LKF3:20210809234152j:plain

f:id:Gonta7LKF3:20210809234159j:plain f:id:Gonta7LKF3:20210809234132j:plain