日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

駅そばシリーズ(14) 三沢駅とうてつ駅ソバ

知らない地の駅に駅ソバがあると立ち寄ってしまう。自分の中で駅ソバは旅情と直結している。初めて訪れた街、青森県三沢市八甲田山登山のレンタカーをこの街で借りたのだ。車を返して駅に戻る。新幹線の通る街・八戸へ向かう次の電車は1時間ほど先だ。駅構内に期せずして駅ソバがあった。

三沢は米軍基地がある街。往路の大湊行の気動車では軍人の家族とも思える米国人女性二名と乗り合わせた。米軍基地のそばで、低空でランウェイに侵入する「赤い鶴丸」の737を見た。三沢は米軍基地でも、自衛隊基地でも、そして民間空港でもあるのか、と改めて認識した。

街は高いビルもなく静かな通りが続いた。REAL ESTATEという看板を通りの角でいくつも見かけ、また、いかにも米軍関係者が住んでいると思える造りの違う住宅も市内に点在していた。ここに冬になると西の八甲田山から雪を降らした後の風が吹くのだろう。低層住宅が多い街が冬にはどんな表情を見せるのだろう。

かつてこの駅のある路線は国鉄からJRになり、新幹線の開業に伴い今は「青い森鉄道」という第三セクターになった。かつては寝台特急ゆうづる」や特急「はつかり」、急行「八甲田」などの優等列車も停車していた、そんな名残を残す長いホームもせいぜい二から四両程度の編成しか走らぬ今となっては哀れさがあった。またこの駅から十和田市には十和田観光鉄道と言う私鉄もあったがもうそれは廃線となっている。その何処かのタイミングで駅のビルは建て替えられたようで清潔で新しい。その一角の暖簾をくぐった。メニューはなかなか豊富だったが、駅ソバのリトマス試験紙としている「かき揚げソバ」を頼んだ。気張って肉をトッピングした。この地のかき揚げはいかなるものか。肉そばは、牛か豚か馬か。総てがわからずに楽しみだった。

手にした一杯。真っ黒なそば出汁ではなく色合いは薄くむしろ関西に近かったのは意外だった。肉は豚バラだった。かき揚げは「巨大なタヌキ」というべきもので、食べ始めるころには湯気を上げる汁の中ではやくも溶解しはじめていた。

冬は寒い街だ。甘さよりもしょっぱさが先に来る汁は寒さゆえにしょっぱいものが欲しくなるからか。すぐに溶けるかき揚げはかえってその汁をたっぷりそして暖かく含むので、体を温めてくれそうに思える。そんな駅ソバはやはり風土が造り上げたものなのではないか。風土と食事は直結しているな、とやや無理やりこじつけた。そんな勝手気ままな想像をしながら食べていると、一杯は直ぐに終わってしまった。米国人とおぼしき体の大きな二人連れも丁度食べ終わったところだった。

北の国での日米が同居する街。そんな見知らぬ地で食べるそば。これだからやめられない。さて次はどの駅で・・・。

出来上がった一杯は意外にも真っ黒な汁ではなく薄い色だった。かき揚げ(てんぷら)は直ぐに溶ける。暖かい汁を含むので体が温まる。豚肉も柔らかく汁に良く馴染んだ。北国の駅そばを満喫した。

数両編成の列車が停まるだけにしては必要以上に長いプラットホームにはブルートレインL特急・急行の停車駅だった往時を感じさせた。今は国鉄でもJRでもない第三セクターだ。偶々だが往路に八戸駅から乗ったディーゼル車は青森行きではなく野辺地からJR大湊線に直通する運行列車だった。鉄道の運行システムはJR時代から変わっていないのだろう。

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