日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

オバサマ達のチームワーク 竹岡式ラーメン寿

竹岡式ラーメン。竹岡は内房線の竹岡駅。久里浜金谷フェリーの波止場のすぐ北にある漁師集落。チャーシューの煮汁を作り湯で割るだけのスープ。店によっては乾麺を使う。そんな形式をもって「竹岡式」と言うらしい。忙しい漁師の家のオバサマ達が漁師さんのために手短に作れるラーメンが発祥と聞いたことがある。これまで竹岡駅周辺の2軒。そしてより北側の富津市エリアで一軒、味わってきた。確かに漁師町のラーメンらしく、味は濃い目でしょっぱく美味しい。

もう家を出てしまった二人の娘たちがたまたまタイミングよく我が家に帰ってくるので、1泊2日で房総へ旅行に出た。小さな車に4人と1匹。10年以上前からそんなスタイルの旅行だったが、家族旅行は数年ぶりだった。漁協直営レストランで海鮮三昧。スイセンの花、棚田。楽しい旅の締めは竹岡ラーメンとした。予定した竹岡の町はずれの店は辺鄙な場所にあるにもかかわらず100メートル近い行列。これはダメだ。

自分もまだ錆びてはいない「つもり」ではあるが、さすがに若いだけあり我が娘たちのスマホ検索能力は素晴らしい。あっという間にアクアラインの近くに2軒、竹岡式を発見。1軒目は今日から年末で「看板」。2軒目はネットの評価も良い店だった。

ネットの評価だけをあてにはしたくない。ネットの情報ほど玉石混合はない、といつも思っている。かといって自分で発掘する事も不可能だろう。最終的に参考にせざるを得ないのは悔しい所でもある。しかしちょっとした共通項を見出した。ご当地ラーメンに関して言えば「小上がり」がある店はまず外れない。米沢、喜多方、白河、佐野、藤岡、八王子…。自分の好きなご当地ラーメンの店にはすべて「小上がり」があった。そして店内を仕切るオバサマはとても元気だ。あたまに巻かれた三角巾ときりっとしばった白いエプロンはチャーミングとも言えた。

一杯の器を一心不乱に無駄なく「流れるように」仕上げるご主人が店の動線の真ん中に居るラーメン屋には外れがないが、活気あるオバサマ達が注文を取りアルミのお盆に載せて小上がりにある机上に運ぶ店もまた、侮れないのだ。

厨房はちらりと垣間見る事しかできない。器を仕上げるワークフローは見慣れた店とは異なるようだ。小ぶりの五徳が6個から7個ならび、それぞれで一杯作るようだった。それらをほぼ一人のオバサマが面倒を見ている。「ああ千手観音の様だ。」唸ってしまった。

この店も同様だった。小上がりに案内された。座敷で食べることで、もしかして体内の「異なる」感受性スイッチでも入るのだろうか?「はい、どうぞ。」来た来た。見た目の色の濃さほどしょっぱくはない。細めで歯ごたえのあるメンマ、玉ねぎみじん切り、豚バラのチャーシュー。すべて美味しかった。オバサマ達のチームワークが最後の隠し味であることに疑いの余地はなかった。

会計時にコッソリ聞いてみた。「他の竹岡のお店と同様に乾麺ですか?」「うちは生麺ですよ」確かにこれが乾麺?と思っていたので納得がいった。竹岡式と言っても色々あるのだろう。

アクアラインを渡る用事はあっても袖ヶ浦で降りる用事はなかなかないな。 まぁ無理しなくとも、一期一会。悪くない。またいつか、立ち寄ればよいだろう。活気あふれるおばさまたちと素晴らしい一杯はいつもココにあるのだから。

チャーシュー、メンマ、玉ねぎみじん。バランス良く見た目ほど味も濃くなく。オバサマ達の元気が最高の隠し味となっている。