日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

山道具の補修・破れた登山パンツ

登山パンツは夏用、春秋用、秋冬用と季節と残雪の有無、登山する山の標高に応じて3種類を使っている。かつてはニッカボッカ―も使っていたが、あまりにレトロで最近は出陣機会はない。

春先のトレッキングで登山道に横たわっていた倒木に足を引っかけた。悪い事に倒木には小さな幹が伸びていてそれに登山パンツが引っ掛かってしまった。加齢だと思う。というのも以前ならもっと高く足を上げて倒木をクリアしていただろうから。意識せずとも足を上げる高さも変わり、足を運ぶ速度も変わる。それを受け入れての登山をしている。

登山パンツに引っかかっただけなら良かったが、勢いづいていたのでそのまま転んでしまった。お陰でパンツの傷跡は大きくなり、枝を抜いたら親指大のカギ裂きがあった。

登山パンツはストレッチ素材で、昔の生地なら針と糸で縫っていたが自分の手法はこのパンツには歯が立ちそうになかった。同行していた山仲間のアドバイスで補修布と補修ボンドで直そうと決めた。

夏過ぎてはや秋深しの感。高い山に行くのならこのパンツの出番だ。洗濯したままだったパンツを引っ張り出して、100円ショップで買った2点、「補修布」と「布地のほつれ止め液」で補修した。

補修布はナイロン製のテントや雨具の補修テープと原理は同じ。後者は糊面があり貼り付けるのだが、前者はアイロンで張り付けるものだった。

細かいほつれをはさみで切ってから中温のアイロンで裏から補修布を張り付けた。剥がれる様子もない。表面に返し、鍵裂きの傷跡のうえにたっぷりと補修ボンドを塗布した。

なかなか良い仕上がり具合だった。このパンツももう25年は使っている。未だに現役で、さすがにほつれも多いが風が冷たくなる季節はこのパンツは欠かせない。

山道具はいずれも長く使う。消耗品的要素の強いものもあれば、長く使えるものもある。いずれも使い込んで、壊れたら自分で治すことで、愛着もわく。手を取ってじっくり見ることで思わぬ劣化などに気づくこともある。

登攀家がザイルをチェックしクライミングギアを点検する。山スキーヤーがビンディングを調整し、シールの接着面を補修しビーコン動作を確認する。ハイカーが登山靴の靴ひもを交換する。皮の登山靴にミンクオイルは1年に1回程度、あとは山行の前後に防水ワックスを塗りこめる。自分はクライミングはやらないが、それ以外は大切なルーチンだ。

山歩きの道具は大切なパートナー。だから誰しも入念に確認するし、何よりもいじるのは愉しい。サイクリストが自転車をいじるのを無上の楽しみにするのと同じだ。

今年の秋の連休は二週連続の台風でやりこまれた。予定していた山は延期した。お陰もありようやく懸案だったパンツの補修も出来た。道具を補修することでそんな自分もまだ一応は「登山・ハイキング愛好者」であるという想いを新たにした。そんな意味で、有意義だった。

台風の雨も悪くはない。

アイロン台を取り出して裏面から「補修布」を貼り付けてみた。そして「ほつれ止め」を塗った。これでしばらくはこれまで通りの「信頼できるパートナー」だろう。