日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

観音崎と浦賀渡船 ユーミンの歌世界を自転車で

ユーミン荒井由実および1986年までの松任谷由実)の音楽世界がとても好きなのです。そして当時の彼女の歌に出てくるシーンを訪問したいという想いがあります。できればそのすべてを自分の自転車の軌跡でつなぎたいのです。

これまで、八王子・府中・立川・国立、湘南海岸、そして横浜・山手エリアの彼女の歌のゆかりの地はほぼ自転車で訪問し、その軌跡はすべて自宅から繋がっています。つまり自宅で自分が両手両足を広げて寝ているとその手足の先から憧れのユーミンの歌世界が物理的に繋がっている訳です。1986年までのユーミンが好きで、サイクリングが好き。両立した楽しみです。

さて横須賀が残っていました。観音崎です。もちろん歌は「よそ行き顔で」(ex「時の無いホテル」)

大学生の頃アパートの隣の仲間が一足早く運転免許を取り友人の車を借りて最初に行ったのが観音崎でした。むろん自分のユーミン好きから行先はそこに決まったのです。観音崎の後は三浦市まで走り逗子から戻った。そんなルートでした。どういう訳かそれは深夜で、三浦半島の先端で車が限りなくガス欠になり不安だったことを覚えています。漆黒の闇の中をたまたま歩いていたオジサンに聞いたら「ここは毘沙門と言う場所。このあたりにはスタンドは当分ないね」と言われたのです。どうやって神奈川県中央部のアパートまで戻ったのかは記憶にないのです。

サイクリングルートの設定にあたりもう一つ大切なポイントがありました。浦賀港の渡し舟に乗りたいというものです。わずか3分の船旅で車道で行けばは浦賀港を回り込み対岸と通じているので特に必要な渡し舟にも思えませんが、なぜか横須賀市営で運行しているのです。サイクリストにとって自転車のまま乗り込める船は異次元の楽しみです。

そんな興味の両スポットをカバーします。

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国道16号線の追浜あたりまで車で走ります。GW最中は三浦半島にすら向かう車で高速道路は長い渋滞。全く呆れます。もっとも自分はいつでも来ることが出来たので、GWに出かけて渋滞に文句を言うのは筋違いかもしれません。しかしこんなに多い人と車にこれでも皆さんは楽しいのか、自分には甚だ疑問です。日本の大型連休は「苦しむためのもの」なのでしょう。自分は御免です。

適当な場所でコインパーキングに駐車してランドナーを組み上げます。昨日に制動系ワイヤー類のメンテを終えたばかり。その確認の意味を兼ねたランです。自転車を組んで南に三浦半島を南下します。車は多く、国道16号線は狭いトンネルを繰り返し横須賀市内へ。トンネルの中は音も反響し正直遠慮したいものです。左車線ぎりぎりを走る自分の神経もすり減ります。わずか数十センチの横を車が轟音で通り過ぎるのです。車よりも自転車のほうが機動力は高く、彼らを追い越しぬかれつつ、長い渋滞を抜けて観音崎への側道へ入りました。

観音崎にはユーミンの歌によると「歩道橋」があり、その下を「ドアのへこんだ白いセリカ」が走ることになります。それを楽しみに走りますが、残念ながら歩道橋もなく、当然ながら白いセリカも走ってきませんでした。この道を「幾人かのカップルが昔、追い越したり抜かれたり走った」と思うとそれだけでもうれしいものです。その面影もない今、すべては彼女の頭の中の世界なのか、単純に歌の世界から40年以上経っていてすべてが変わったからか、どちらかはわかりません。しかし、この風景にインスパイヤされてユーミンは詩を書いたのは事実でしょう。

僕はその世界を自分の漕ぐランドナーでゆっくりと味わうだけで楽しい。そしてそれは同時に、40年近く前に友人と車でここを走ったという少し色褪せた思い出に結び付く。

登り返しの多い道に喘ぐ。ギアーをローローに落としてふと頭を揚げると岩の目立つ高台に灯台がありました。あぁ観音崎灯台。そうつぶやいて風を体で感じて下っていきます。緩くても長い下り坂、自分の体が凧のように風を受け止めることを感じることが出来るのです。自転車の楽しみを知らない方には通じない喜びでしょう。

浦賀湾を渡る渡し舟にランドナーごと乗り込んで対岸に渡りました。小さな入り江でもそれは立派な渡船で、生まれ故郷の瀬戸内海を思い出させるのどかな風景と軽快なエンジン音とディーゼル排気ガスの匂い、潮の香りに惹かれました。久里浜に出て幹線道を追浜まで戻ったのです。

自転車屋さんの力を借りても自分でメンテした自転車は快調です。ユーミンの歌世界にも、40年近く前の自分の姿にも出会えました。

素敵なユーミンの歌と、学生時代のドライブが無ければ今回のサイクリングルートはなかった事でしょう。また一つ彼女の歌世界と自分の軌跡がつながりました。それは感謝であり喜びであり。長年の課題が一つ終わり、渋滞の中を軽やかな気分で自宅に帰りました。さて次は、彼女のどの歌と繋げましょうか。

(2022年5月4日走る。走行距離35キロ)

喧騒の国道を離れるとゆったりとした風景と潮の香りに包まれた

観音崎灯台を先に見てペダルを踏もう。ユーミンの歌が自分を包む。歌の世界、時の流れと風景の流れを縫い合わせる様に自分は走る。サイクリストのみが味わえるスローな世界。

小さな港を行き来する渡し舟。さて自分の乗る番です。

船員さんがしっかり押さえてくれて安心。しかし塩水が愛車にかかからぬか少し心配。波の無い静かな湾を、ゆっくりとクルーズ。

松任谷由実「よそゆき顔で」余り録音の良い動画ではないですが。オリジナル版のアレンジが素敵すぎるので自分はそちらを聴いてしまいますがネット動画サイトには上がっていません。https://www.youtube.com/watch?v=xKv-Mjbz5Ss&list=RDxKv-Mjbz5Ss&start_radio=1