自分の好きな音楽・・・。
クラシックやソウル、ロックなどいろいろ聴きます。
しかし聞かなくなった曲、あるのです。大好きだったのに聞かない。PC音源のランダム再生で、車の中のスマホ音源のブルートゥース再生でかかってしまう。心地いドライブもそこで断続してしまいます。聞くのが辛くてすぐにスキップします。それは苦い思い出が付きまとうからです。
・・・バンドのライブでミスったのです。もちろんミスることは多いです。ルートを外すこともあったかもしれません。拍に乗りおくれたこともあるかもしれません。しかし曲の展開が頭から抜けてしまい一瞬の空白が生じたことはあまり記憶にないです。唯一の例を除いて。
自分には運指が少し難しい曲でした。ワングルーブな曲は特にタイトなリズムを維持することが肝要です。フレーズも少し簡略化してミスらないようにと自分なりに予防線を張っていた曲です。練習では特に間違えたこともなく、「緊張するがなんとか通り過ごせる曲」といった位置づけでした。
しかしステージでスポットライトを浴びて演奏する。あろうことか展開が頭からすっぽ抜けてしまいわずか数小節が空っぽになってしまったのです。ベースサウンドが抜けたアンサンブルは腰砕けの音です。フロントマンの二人が怪訝そうに一瞬振りむいたことは今でも鮮明な記憶です。しかし皆さん練達の腕利きばかり。一周のベースの空白はなかったかのように曲はエンディングに向けて進みました。
魂の平穏を取り戻すのに時間かかかりました。ラスト前の曲でしたのでまだよかったかもしれません。またロックのビートの中にスイングするジャズのビートが入るナンバー。こちらは練習から難しく何とかカタチにしましたが、本番では指がもつれました。ドラマーさんのリズムが非常にステディなので助かったようなものです。
アマチュアバンドで楽器をやる。だれしもそんな経験はあるのか、いや、それは失礼です。少しはそんな経験をお持ちの人もいるのかもしれません。
先程ランダム再生で聞いていた音楽が、突然イヤーなイントロを奏でました。タイトなドラムスとグルーヴィーなベースラインが曲全体を支配していると言っても良い曲です。「あぁ、やっちまったやつだ。もうやめよう、スキップ・スキップ・・・」
しかし何といってもそのライブも5年、7年以上も前かもしれません。我慢して聴きとおして、高鳴る脈拍を抑えて曲は終わりました。
「なーんだ、聴けたよ。やっぱりイカした曲だよな」
「どこ間違えたか、なんだか記憶は曖昧だな・・あの時は皆さんに悪いことはしたけど、許して」
そんなところでした。
大脳は面白いですね。無意識に自分を安全な方向へ持って行ってくれる。不安定な状況、辛い思いを思い出すことから遠ざけてくれる。しかしそれが本当に良いのか。たとえ失敗したとしてもそれがその時の結果ならば仕方ない。そんな風に受け止められないのでしょうか。それは鍛錬の賜物かな。失敗しても何かポジティブな力に変えたいものだ。そう大脳に言いたいものです。
聞かなくなった曲、又前向きに聴けるようになりました。これからもいろいろと乗り越えていければよいな・・。ひとつ大人になった気分です。
今も改めて好きと気づいた因縁のナンバー、Jackson Sistersのミラクルズです。
https://www.youtube.com/watch?v=sMiiDlHPpZQ