小学生のころから電子工作が好きでした。「初歩のラジオ」「模型とラジオ」。それぞれ「初ラ」、「模ラ」。前者は内容的に小学生には難しかったのですが、後者はプラモデルやラジコンやUコンなどの世界も少しカバーしておりまさに「夢の本!!」、月刊愛読書でした。「模ラ」には「泉弘志」先生というお方が「バラック製作集」と称する分かりやすい自作の記事を毎号載せており、可愛らしい独特なイラストと共にとても好きな記事でした。ラジオはまだしもお風呂の水位検知器など、紹介記事には他愛のないものも多かったのです。それでもラグ板にトランスを載せて、抵抗とコンデンサを半田付け。トランジスタはまだ丸い銀色の筒でした。そんな工作で一体何が出来ていたのか、もう覚えていません。そんな雑誌の発行元であった誠文堂新光社と科学教材社は社会人として就職した会社のビルのすぐ裏手にあり郷愁でした。特に科学教材社には小学生時代に何度かキットを買いに行ったのです。懐かしのお店にはまるで「子供心のまま大人になった」、そんな雰囲気のお方が店番をされていました。今はどうなったことか。
・・この世界に触れなければ、今自分はアマチュア無線技士にもなっていなかったでしょう。見えない電波への憧れ、いったいなぜ音が聞こえるのだろう、本当に不思議な世界です。
そんな事で、ある意味自作派の本丸ともいえるアマチュア無線機の自作を初めてとして、無線関連の周辺機器からつまらないものまで、社会人になってからも色々作ってきました。キットは気楽で良いです。再現性も高いし部品を細かく入手する必要もないです。今机の上で、PCに保存している音楽を聴いているオーディオデジタルアンプもキットの自作品。スピーカーは組み立てただけの自作品。しかし自作のオーディオで音楽を楽しむのは良い気分です。
ラジオを作ったのは小学生の頃、そして中学の技術家庭科目にて。ずっとご無沙汰ですが、いずれはオーディオ系でもう少し自作したいなと言う思いもあります。憧れだけですが。。そこでせめて細かい作業のカンをとりもどそう、とラジオキットに手を出しました。
昔の様にラジオのキット花盛り、とはいかないようです。作るなら音の良いFMラジオ。ネットで見つけた商品は一つ数百円程度の気楽なものでした。中国製、いわゆる中華キットですが、迷わずポチリ。コイル・抵抗・コンデンサ・ダイオード・トランジスタ・ポリバリコン・・そんな部品で構成されていた昔のラジオのキットですが、今は集積回路ひとつで、かなり小さなキットです。もう回路構成も動作原理も探る気力はなく、ただ、基盤のシルク印刷に沿って部品を半田付けしていくだけです。
16本足の小型集積回路の半田付けは気を使いました。ハンダが隣のランドにのらぬよう・・。マイクロインダクタは抵抗と似たようなカラーコードで、焦りました。電子工作は数年しないと部品の極性も忘れてしまいます。ダイオードはアノードとカソードを間違えぬよう、トランジスタはベース・エミッタ・コレクタを間違えぬよう・・。おっと、ケミコンもLEDもありましたね。
ハンダの溶ける匂いが、懐かしい。昔から親しんだ匂いです。ハンダ付けは「1,2,3」の掛け声です。漂う独特の煙は口で吹き飛ばしましょう。体が覚えている所作です。
部品点数も少ないキット。フラットICには手間取りましたが基盤完成までものの30分もかかりません。
出来たぞ・・・電源投入時は自作品であるならばいかなる場合もワクワクドキドキです。煙よ‥でないでくれ!
イヤホンをつないでスイッチポチリ。無事FMヨコハマらしき局がイヤホンから流れてきてほっとしました。多少何処かの接触が悪いのか、動かすと音が乱れます。ビニル線を数メートル、アンテナとしてつなぎました。音、強くなりました。まぁ不具合箇所はご愛敬、ご愛敬。見直してエイジングですね。
このキットはイヤホンで鳴らすのが前提のようです。ジャンク箱を漁り埃を浴びていた8Ωの小さなスピーカを引っ張り出しました。つないでみたらでは音が小さい。もう少し大きな音。いまからトランジスタで増幅回路を組むことも可能ですが、もっと簡単にスピーカーのインピーダンスを変えようと思いつきました。8Ωの半分の抵抗値のスピーカ。やはり8Ωが主流ですが2件目のパーツ屋で半径7センチほどの4Ωのスビーカを無事に入手。
ワクワクして結線。おお!! いい音です。周波数変調、FMは音は良いですね。
手作りFMラジオ、手持ちのスピーカーでは音が小さく、無事に適したスピーカを買ってきて素晴らしい音で鳴っています。スイッチを入れてしばらく番組を聞いていると、キリンジのエイリアンズが流れてきました。思わず口づさんでしまいました。良い音です、我がラジオ。
500円にも満たない中華キットですが馬鹿に出来ません。もっと低いインピーダンスのスピーカならもっと力強い音になるだろうけど、アンプへの悪影響も大きいだろうね。このくらいの音がバックグランド用に丁度良いよいようです。
次なる課題はケース入れ。これを綺麗に作るのはとても苦手な分野なのです。100円ショップで手頃な木のケースを見つけてきました。木だから工作も多少は容易でしょう。高周波を扱うわけでもないのですから金属箱でなくともいいでしょう・・。この箱にはスピーカーも小さな基盤も収まります。単三電池ボックスは背中に出しましょうか。アンテナ用に陸軍ターミナルをも背中につけましょうか。
ケース入れはゆっくりとやります。これからの楽しみです。楽しみは焦らない事。これが良いようです。ケースに入れると箱として鳴るので、ますますいい音になる事でしょう。楽しみです。ケースにはニスを塗ろうか、フロントパネルのデザインは・・・なかなか妄想が尽きません。
これも自作の楽しみですね。キットであっても、簡易な工作でも、手作りの音は嬉しいものです。さて今日は遅くなったので、電源スイッチをポチリ。黄色いLEDも消えました。
キットはKKHMFというブランド、品番63004とあります。