日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

憧れの「彼女」探しの旅

自分にもありました。学生時代。18歳。

初めての独り住まい。すぐに出来た楽しい学友。オートバイ。ストーンズツェッペリン。ロック沼。漫画とアニメ。楽しかったものです。

そして何より熱く取り組んだ事・・それは憧れの「彼女」を作るための活動 だったかもしれません。

異性に縁のありようにない自分であることは十分自覚していました。また、独りで何かしようという勇気もないことも自覚していました。そこでいつしか学友の一人とともに、そんな活動に励むようになりました。小さな自分でも、仲間がいれば怖くなかったのです。

手短にはバイトでした。同世代か少し若い女性の居るバイト・・・。その仲間も自分も、今思えばやや短絡的でした。

選んだバイト先は「M」で始まるハンバーガーチェーン。場所は当時自分が住んでいた街からほど近い東京都町田市。町田駅小田急線と横浜線の乗り換えデッキの角地にありました。

「沢山居るなぁ、女の子」
「おお、綺麗だな。髪の毛が光ってるぞ」
「空気になりたいよな・・」

冴えない二人の会話が行きかい、即座に面接を受けました。

仕事はフライヤーの前に立ち、ポテトを揚げて塩を振るだけでした。そしてチキン揚げ。少し時間が経つとハンバーガー。焼きあがったバンズにバーガーとピクルスを載せケチャップをワンショットする仕事でした。

期待してきた女子との会話はありませんでした。オーダーが命令として伝えられてくるだけで、出来上がった品を棚に載せる時がカウンターの女子と話すきっかけだったのかもしれません。しかしその勇気はありませんでした。なにせ女子は輝きすぎて、自分の目には露出オーバーでなにも映りませんでした。

一方の相棒は、少しはその辺は勇敢だったのかもしれません。しかし彼は彼で「頭髪が耳にかかっているから切ってくるように」と店長に指摘され、それを不服としてすぐに辞めました。つられて自分も「これでは目途がない」と辞めました。

次に二人がバイトしたのは「D」で始まるファミレスです。友人はフロア。自分は洗い場。ああ、俺はカッコ悪いから洗い場なんだ・・。そんなマイナス思考も働き、「彼女探し」の旅はまたしてもついえました。フロアにはくちびるの上にほくろのある色っぽい女性がいて、アイドルの様でした。友人と共に彼女の事を「モモエチャン」と名付けて悦に入っていたのです。「今日モモエチャンと話したぞ」「おお、いいなぁ、くそう。」

もちろん何の成果もなくすぐに辞めたのです。

今思うと二人ともこらえ性がなかったのかもしれません。もう少し粘っていたら何かがあったかもしれません。しかし「話しかける勇気」がなかった。何故なかったのでしょう・・。

そんな昔の話を、久しぶりに山歩きの為に乗り換えの町田駅を歩いて思い出しました。角地のハンバーガー店はコーヒー店になったようです。あぁここで奴と「ふがいなさ自慢」をしあったな・・。その後も自分は失敗続きでした。いやアクションが無いから失敗にもならなかったのです。

共に冴えない活動をした友人はいつしか可愛らしい女性と結婚したのです。遠い昔の話だな。アイツも元気かな? そんな事を想いながら、今日の山歩きのコース予定を家内にラインをしました。

40年前とは異なる街の風景。異なる自分の容姿。「憧れの彼女」探しの旅にとりくんでいた頃と、それぞれ家庭を持った今。この間自分として何か進歩があったのかな、などど思ったのです。あぁ、きっと、当時お互いに凄いエネルギーをためてから「勇気を振り絞った」んだな。だとすればそれが最大の進歩だったかもしれません。

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写真正面の歩行者デッキの角地、一段下がった場所に友と「活動」した店がありました。