日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

脳腫瘍・悪性リンパ腫治療記(20)「血液内科にて化学療法(3)」事前準備と画像診断

ガイダンスの直後からそのまま入院となった。病室は7階の南西向きの病棟。展望があるな。丹沢が見えるか、と期待するまでもなく、それは自明の理だった。冬枯れの丹沢が窓の外にくっきりと浮かんでいた。病室から丹沢が見えることが、ひどく嬉しかった。ここがこれから5か月に及ぶ、我が家 なのだ。山が見えれば、僕の治療も上手くいく事だろう。

月曜日からの第1クール治療に向けてすぐに準備が始まる。

● CT撮影。
CTは脳腫瘍その後とリンパ腫の残存状況を確認するためにこれから定期的に行われていくことになる。転院後初めてのCT。滞りなく終わる。

● 骨髄液採取
悪性リンパ腫の細胞が骨髄に広がっているかどうかを調べるという。骨髄穿刺。これは骨髄に麻酔注射をしてから一気に行う。痛いですけど我慢してください、と言われていたが意外にあっさり終わる。これよりも、腰痛に対してこれまで何度かやったことのあった神経ブロック注射のほうが痛かった。お次はなんだ?

● PICC挿入
二の腕から心臓近くまでのカテーテルを挿入するという。脳のリンパ腫に対しては、刺激の強い薬剤である抗がん剤が、中心静脈と呼ばれる体内の太い静脈に効果的に届くよう、心臓まじか迄静脈カテーテルを挿入・残置し、そこから薬剤を点滴していく手法が使われということだった。この放置カテーテルはPICC(ピック)と呼ばれる。こいつが合計5クール、10週間の間ずっと腕の外から体へ、脳へ、抗がん剤を送り届けてくれるわけだ。「長い友」ともいえた。

細い管を二の腕の静脈からぐいぐい入れていくわけだが、血管カテーテルは初めての経験なのでこれまたびびる。しかし、言われる通り治療台に横たわり挿入部分に麻酔注射、その後はドクターが多分画像モニターを見ながら挿管していくわけだが、気が遠くなりそうなので自分は見なかった。優しい目をした看護師さんが絶えず声をかけてくれていた。「もう少しですよ、もう少しですよ」それが救いだった。 (看護師さんに助けられたのです・・https://shirane3193.hatenablog.com/entry/2021/11/17/000037

PICCは長く静脈内に挿入され、その出口が二の腕にプラスチックテープで止められ、5センチ程度二の腕から出たカテーテルの先端にはいつでも採血も投薬もできるような小さなバルブがついていた。点滴を通さない時はバルブを閉じるが、カテーテル内部が乾燥しないように常に水に近い薬液(ヘパリン剤)を一日一回バルブを開けて体内に注入するのだった。

転院から治療方針ガイダンス、CT撮影、骨髄液採取、PICC挿入…長い一日だがこれが5カ月のタームの始まりに過ぎなかった。

● 画像診断
流れ作業のようにすべてがこなされた。撮ったばかりのCT画像を残っていた家内立ち合いの下、見せていただいた。今回は準備時間の問題から造影剤を用いなかったから精細は欠くが次回からは造影をしてCT撮影という。画像は3枚。

①脳外科での手術前(救急搬送された時点)2021年1月20日 
②脳外科にて手術後 2021年2月5日 
③血液内科転院後、化学治療開始前 2021年2月12日 以上をA4一枚に並べていただいたものだった。 

①で右側頭部に明らかに存在していた腫瘍は②では除去されて、その部分は「むくみ」となっているという。③では時間経過に伴いその「むくみ」も減っているとのこと。言われればそのように思えるが、自分の頭の内部を見るのも何とも言えない気分だ。とにかく①の腫瘍と言われた明瞭なエリアが切除され、むくんでいることはわかるのだった。この時点で残腫瘍はほぼないという話であったが、造影剤を用いていないので、それは今後の話だ。スタート地点の状況を確認できた。ドクターは「いよいよ明日からです」。と言われる。

今はコロナ禍。脳外科同様に入院者への訪問は厳しく制限される。これからはまた一人だ。

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下から反時計回りに。①手術前(搬送時)②手術後9日経過時点 ③化学療法開始前(②から7日後時点)