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脳腫瘍・悪性リンパ腫治療記(19)「血液内科にて化学療法(2)」RMPV補記

R-MPV療法について若干の追加を以下に記する。

私のリンパ腫(中枢神経原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)に対しての治療法は3段階からなるものだという説明であった。R-MPV療法というもので大きく3ステップ。

①R-MPVという4種の抗がん剤で腫瘍を絶滅させる。(計5クール、10週間)
②全脳への放射線照射でさらに腫瘍残存の可能性を排除。(延べ約2週間)
③大量キロサイド療法と称される抗がん剤の投与で総仕上げ。(2クール延べ3週間)

この3ステージが昨今確立された標準的な治療法という事だった。

それぞれにつき以下に補記を記す。

①R-MPV R-MPVは使用する抗がん剤の薬品名の頭文字。プロカルバジン以外は点滴薬

・R : リツキシマブ:分子標的治療薬  特定分子を標的としその機能を抑制する。点滴にて流量コントロールを厳密に行う。投与前に抗アレルギー剤の点滴を行う。
・M : メソトレキセート:細胞増殖抑制剤 DNA合成を阻害しがん細胞の増殖を防ぐ。この薬は大量に投与することで脳血液関門を突破できるという事で、脳への直接作用が期待できるという事だった。ドクターによると、R-MPVの中で「肝」となる薬という事だった。腎臓への影響があるため解毒・利尿のために解毒・利尿の薬剤を併用。排尿を頻繁に行いその成分、PH値を定期的に確認するために導尿管を膀胱まで挿入。成分確認の定期実施を行うことになる。
・P : プロカルバジン:DNA阻害剤  錠剤 奇数クールにのみ服用 DNAの働きを阻害してがん細胞の増殖をおさえる
・V : ヴィンクリシチン(オンコヴィン):DNA抑制剤 蛋白質の結合を阻害することによって腫瘍細胞の増殖を阻害し、死滅させる。副作用として末端神経障害が挙げられる

放射線治療
全13回に分けて合計23.4グレイ(放射線量)を全脳に対して照射する。・・かつての治療では照射放射総線量は30から40グレイというものであったそうだが、脳の認知機能低下に与える悪影響を考慮し、現在はこの照射量になったという事であった。それでも何らかの認知機能の低下が後年に現れる可能性は否定できないという事だった。ドクターによると放射線照射はこの治療法の中でもキーであり、非常に強力な治療だという事だった。

③大量キロサイド:
キロサイド(薬品名シタラビン)を2回に分けて全身投与。シタラビンは蛋白質の結合を阻害することによって腫瘍細胞の増殖を阻害し、死滅さるという。がん細胞をとりこぼしなく排除する、というもの。

R-MPVの5クールにわたる投与、放射線治療、大量キロサイド。この3ステージが行われその延べ期間は約15週間。長い治療プログラムであるが、もちろん患者の容体次第ではあるが、可能な限りカレンダー通りに確実に実施していく事ががん細胞の退治には大切であるという事だった。

入院期間中、ドクターがとても注意を払われていると感じたのがまさにこのスケジュール管理だった。途中意図せぬ発熱やコロナの懸念などもあり、それらの中での慎重な対応が行われたのだった。