「分割併合」。この言葉にピンときたならあなたは「鉄分豊富」なお方です。見学する貴方は間違えなく「鉄分過剰」なお方です。
首都圏で馴染みがあるとしたら高崎線の籠原駅。東北線の小金井駅、横須賀線の逗子駅・・・。首都圏ハイカーならば青梅線の拝島駅。・・旅情を求める方なら山陽本線の岡山駅。・・昔話であればかつての小田急・相模大野駅。きりがありません。
もうお分かりですね。ある駅で鉄道の一車両編成を切り離したり、あるいは連結したりするのです。それを「分割併合」と呼んでいます。分割併合の理由は大編成の列車がとある地点から必要がなくなるため(前三者)、あるいはある地点から行先が異なるため(後三者)などです。
先日乗った横須賀線。見事に逗子駅で分割併合でした。逗子から先久里浜までは15両も必要なく、ここで5両を切り離して身軽になって久里浜に向かうのです。
さて、どうやって分割併合をするのか? 「鉄ちゃん」ですから当然見に行きます。
昔のイメージは、連結を解除する狭い場所へ左右から2名の保安員が作業に着手。ブレーキの空気チューブ、電気配線のハーネスなど、車両間を接続しているいわゆるジャンパー線を外してから連結器解除。それらは慎重を要する。もう一人が安全確認の旗を振る。そんなものです。
さて今の電車。どうなのか・・・
連結器は電車を中心にすでに自動連結器から密着自動連結器に移り変わっています。故、連結器の解除には昔から人手は不要ですが、ジャンパー線はどうでしょうか?
そんなもの、ありませんでした。解除音の後、あっさりと前5両はホームの前方に去っていきました。ホームには立ち合いの係員と「鉄分の濃い」自分のような見学者だけです。今気づいたのです。見馴れた密着自動連結器の下に、同様に各種の電気ケーブル類が箱にまとまった自動連結器がついているのでした。嵌合の良い箱型のジャンパー線のケースです。ブレーキ用の空気弁など、無くなっていたのです。スイッチ一つで連結解除なのでしょう。
そもそも最近の無個性な車両には興味を失っていたので改めての観察もしていなかった。これは迂闊でした。
機関車はそうではないでしょうね。空気弁もあるので豊富なジャンパー線が機関車と客車ないしは貨車の間に繋がります。ただその客車も、もはや追憶のモノとなってしまいました。これは残念の極みですね・・。これまで自分は貨物列車にはあまり血沸き肉躍る事はなかったのですが、今度はじっくりと「鉄欲」の対象になっていただきましょう。
「鉄」の世界も、細分化されています。「多様性」の時代ですから、なんでもアリですね。。。