日々これ好日

山や自然、音楽が好き。そんな私は色々な事が起きる日々の中で、好き日を過ごす事を考えています。

駅そばシリーズ(2) 東神奈川駅 日栄軒

この店で前回食べたのは何時だろう。20年は前かな。そもそも中央線エリアの山に行くため横浜線に乗り換えくらいしか降りる機会のない駅です。

今回まさにそんな目的があり立ち寄りました。ただ行き先は中央線方面ではなくそのまま南行京浜東北線に乗っていればよかったのですが、これを食べるためにわざわざ途中下車したのです。

この店もまた、創業百年以上ということで「その筋」の人には人気です。なるほど秘伝のタレは甘辛くてダシの風味あります。麺とのバランスもいいですね。美味しいです。

店は狭い。同じく昇降階段下のスペースを有効活用している店舗ではあるものの品川駅山手線ホームの常盤軒とは違います。品川駅のようにホームの幅が広くないのです。横7人入るとキツイ。券売機で食券購入後に、店外にキューができます。

そして食べ終わるとすぐに出てくる先客のスペースに、スッポリ我が身を嵌めこみます。袖振り合うも他生の縁、どうぞよろしく。お隣さんは忘我にて心地よさそうに汁をすすり麺を吸い込んでいます。食券提示、完成まで30秒か。これぞ駅ソバ。目の前の厨房のオバサマ2名の動きにも無駄はないのです。

 

隣人と肩が触れあう狭い店。背後に並ぶ行列。乗るべき電車への残り時間。喧騒。これらすべてが焦りを生む。そのプレッシャー、慌ただしさこそが美味さの秘訣か。ホームの立ち食いソバ屋がコンコースに移り、キッチンでソバが作られ、そこには座って食べる席がある。こうなると前者と後者は全く別の店と言いたいのです。

・・・前者のほうが比較にならない程美味しいのは、言うまでもありません。食事が美味いかどうかはその皿の味付け以外の要素も大きいっという、最高の例です。座って食べるそば屋は駅そばにあらず。駅ソバ屋にはなんらかの「道場」的な要素が欲しい。前者後者の判別が容易に行えるような後者への何かいいネーミングは、ないだろうか?

(2021年12月訪問)

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老舗の味。ご馳走様でした。慌ただしさが、最高です