アメリカに頻繁に出張していた頃お世話になったお店の一つがこれ。
主だった空港のターミナル・ビルやモールのフードコートにはたいてい出店していたし、アジア人としてはハズレのない味で、何かホッとするのでした。パンダエクスプレスという店のネーミングも、いかにもファーストフード的で秀逸だと思ったのです。
作り置きのチャオメンやバーベキューポーク、オレンジチキン、クンパオチキン、モンゴリアンビーフなど、アメリカン中華の料理をこれでもか、と言わんばかりに皿にてんこ盛りして出す。そのサイズ感もアメリカン。
そんな店が川崎にも出店していたのはもうだいぶ前から知っていましたが自分には何せ大雑把な味で、アメリカで食べてこそのモノ。わざわざ日本で食べることもありませんでした。
所要で川崎に出たついでに懐かしさからテイクアウトで寄ってみました。店の作り、メニュー、料理の匂い、見慣れて、かぎ慣れたものです。
量だけは日本サイズでホッとしました。しかしどうせ胃に入れば一緒でしよ、と言わんばかりに3種類の具材を一箱にざっくり詰め込むところが極めてアメリカ的。
ああ、ミラー・ライトかクアーズ・ライトが、いや僕が空港で一番よく飲んだのはサムアダムスかな、あのあたりが欲しくなるな。
嫌になるほど利用したしたシカゴオヘア空港やサンフランシスコ空港。飛行機から降り立ちターミナルビルに入ればプンと漂うのはキャラメルポップコーンとシナボンの甘い香り。そしてスパイシーに来るパンダエクスプレス。目を閉じればすべてを思い出す空港や街並みの風景とともに、懐かしの味をゆっくり堪能するのです。
するとトランジットの時間を利用して眠い目をこすりながらも、明日から始まる商談に向けて資料やポイント、落としどころなどを同行の仲間と共に事前確認している、そんな遠い日の風景が頭に浮かびました。
まさに働き盛りだったあの頃。久しぶりの味は、すこしだけ時の流れを感じさせてくれるのでした。
